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続・ホームベーカリーHB-100レポート

母の日に、さっちゃんにプレゼントしたエムケー精工のホームベーカリー・HB-100。当初はドライイーストでパンを発酵させていたのだが、やはり天然酵母で作ったほうが、圧倒的にうまい! というのが、1ヵ月使ってみた二人の結論だ。
ドライイーストのメリットはどこでも手に入ることと、焼き上がりまでの時間が天然酵母の半分近くで済むこと(約4時間)。一方、天然酵母はデパートや通販などでしか手に入らず(うちは東急ハンズで購入)、しかも、天然酵母から生種(乾燥して眠っている酵母に水を加え、発酵に使える状態に戻すこと)を作るのに24時間を要する(ただし、1度で4回分作れる)。そのうえ、セットして焼き上がるまでに、なんと7時間半ほどかかってしまう。つまり、思い立っても、2回寝ないとありつけないほど、天然酵母パンはスローフードなのである。
僕とさっちゃんは、二人とも強く自覚しているほどの面倒臭がりだ。だから、本来なら、こんな呑気なことは絶対にやらないわけなのだが、今では自分たちもびっくりするほど、せっせと天然酵母パンを作っている。もちろん、その理由は、手間が惜しくないほど、焼き立ての天然酵母パンが抜群にうまいからだ。

基本的に、どんなパンでも焼き立てはおいしいが、天然酵母パンは、まず朝起きて、リビングに行ったときに漂う香りが違う。部屋に入ると、酒粕の香りをもっと薄く和らげたような、そして焼き上がったばかりの熱気とわずかばかりの湿度をはらんだようなホンワカとした香りが鼻孔に纏わりつく。パン好きなら、まずこれにうっとりするだろう。そして、HB-100のフタを開けると、さらに強い香りがパァ〜ッと広がる。
が、驚くのはその香りに、ではない。多くの人は、ケースの中で見事なまでに山形に膨れ上がった食パンの姿に驚嘆するのである。パンというものは、強力粉、水、砂糖、塩、ショートニング(マーガリン)、それにイーストしか使わない非常にシンプルな食べ物だが、その材料はイーストによって、2倍にも3倍にも膨れ上がる。それだけでも、発酵という自然の力に感心するが、天然酵母の発酵力はドライイーストのそれをはるかにしのぐ。ケースのトップからはみ出るほどに膨れ上がった天然酵母パンを見ると、それだけで、ドライイーストと天然酵母の格の違いを感じざるを得ない。ドライイーストは短距離走者だとすれば、天然酵母は長距離走者。小麦粉のうまみを出すために、じっくりじっくり発酵を続ける。

こうしてケースのからはみ出るように焼きあがった天然酵母パンは、粗熱を取るために、しばし放置される。そして、人肌にまでさめたら、いよいよ、カリッと焼き目の付いたボディにナイフが入れられる。なんと、僕たちは、この瞬間にもドライイーストと天然酵母との差を感じるのだ。ドライイーストでは比較的軽やかに入るナイフが、天然酵母の場合、パン生地がナイフにむっちりとまとわりつく。つきたての餅に包丁の刃を入れるという比喩はオーバーだが、そのムチムチ感はドライイーストのときには味わえないもの。断面を見比べてみると、パン生地の層の出来方がドライイーストとは明らかに異なる。小麦粉の中に出来た空気の層は、天然酵母のほうが複雑。実際、手でパンをちぎってみると、天然酵母パンのほうは、ストリングチーズを裂くように、繊維が縦伸び、徐々に千切れていく感じ。そして、これが何ともいえない食感を作り出す。

もちろん、味もいい。しっとりとしていながら、ふんわりとした食感は天然酵母ならではだが、かむほどに味わい深いおいしさが出てくるのも天然酵母ならでは。ほのかな甘みと熟成したうまみ。ちょっとほめすぎかもしれないが、とりあえず僕は、天然酵母パンとコーヒーがあれば、朝はOKというくらい、天然酵母パンが大好きになっている。ちなみに、先週末は、クルミを入れた天然酵母クルミパンに挑戦。実は、これがまたうまかったのだ。しっとりふんわりした生地に時折現れるクルミのゴリッとした食感がまた食欲をそそる。そして、単なる食パンでは味わえないクルミの甘みが口の中いっぱいに広がる。トーストなんかしなくても、バターなんか塗らなくても、とにかくそれだけでうまさを堪能。もちろん、自分で作ったという満足感もあろうが、それだって料理の一部。結局、手間をかければかけるほど、料理はおいしく感じるのかもしれない。

というわけで、ちょっぴり美味しんぼ風に記事を書いてみたが、どうだったろうか? もちろん、そのおいしさは誇張でもなんでもない事実。日本では、ホームベーカリーってもう一つ市民権を得ていない気がするが、ここまでパンを食べるのがあたりまえの日本。ホームベーカリー業界は、もっとホームベーカリーそのものの感動を世に伝えるべきだと思うが、いかがだろう。


※ところで、前回の「ホームベーカリーHB-100レポート」で、こねるときの音がうるさいと書いたが、これはダイニングテーブルに置いて使ったため、テーブルが共振したせいであった。きちんとした台の上で使ったら、テレビの音が聞き取りにくくなるなんてことはない。他社製よりはうるさいという声を聞くが、我が家では許容範囲内。
また、「暮らしの手帳」では、レーズンをミックスしたときにうまく混ざらず、かたよって焼き上がったというテスト報告があったが、クルミを刻んでミックスしたときは、実にうまい感じに満遍なく混じったパンが焼き上がった。

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