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次世代DVDに憂う。

次世代DVDといえば、何となくブルーレイが有利そうにみえるから、いずれはブルーレイが標準になるだろう。多くの人はなんとなく、そんな風に思っているのではないだろうか?

そもそも、やっとこさ、DVDが普及したというのに、なぜ業界はやっきになっているのか? 最大の理由は2011年7月にアナログ放送が停波され、テレビはデジタルオンリーになるからだ。そのとき、1層4.7GBしかないDVDでは、デジタル放送は30分くらいしか記録できない(仮に記録できたとしての話)。それに、HDDがメインになってしまうと、ディスクドライブもディスク自体もいらなくなるから、メーカーとしてのうまみも減る(HDDメーカーが喜ぶだけ)。ならば、次世代DVDの主導権を早めに握り、それを普及させて、将来的な利権を手にしたい。そして、そのためには、ソニーと松下だって手を組むというわけ。
実際、VHSを開発したビクターは、VHSの利権だけで10年以上もの間、潤って来た。次世代DVDの覇権争いはVHSの夢よもう一度というワケで、ブルーレイでソニーと松下が手を組んでいるのは、自民・民主の大連立に近いといってもいい(こっちはご破算になったけど)。ちなみに、大連立は国民不在と各方面から批判を浴びたが、次世代DVDに至る道は完全にユーザー不在だ。

そして、なかなか普及しない次世代DVDに業を煮やしたのか、ソニー、松下はさらなるウルトラCを搭載したレコーダーを発売している。ソニーの「たっぷりハイビジョン録画」、松下の「フルハイビジョン長時間4倍録り」がそれで、なんとデジタル放送をさらにMPEG4 AVCでエンコードし、最大4分の1にまで再圧縮して記録することができる。「高画質のまま4倍も多く録画できるなら、それはそれでいいじゃない」と一般のユーザーはだまされそうだが、翻って考えてみると、そんな技術があるなら、何のために次世代DVDが必要なのか? ということになる。例えば、松下のDMR-BWシリーズなら、HEモードで、1層4.7GBのDVDに100分、2層8.5GBのDVDに3時間のハイビジョン記録ができる。今や、2層8.5GBのDVDディスクは1枚400円以下。それなら、それでいいではないか。

そもそも、圧縮して送られてくるデジタル放送をさらに再圧縮して記録するというのは、僕は邪道だと思うし、メーカーも最初はそんなことを想定していなかったはずだ。だからこそ、次世代DVDの規格が登場したわけなのに、それすらあっさりと捨て去ってしまうのは、納得いかない。一体、誰のための次世代DVDなのか? メーカーはそのことをもう一度考え直すべきだし、ユーザーもこうしたメーカーの思惑に振り回されてはならないと思う。ちなみに、一番ひどいのはソニーで、こうした再圧縮技術を使っていながら、あえてDVDへの記録はできないようにしている。再圧縮記録はBDかHDDにしかできないというのは、まさにユーザーそっちのけのソニーらしいやり方だ(MP3に対応せずにユーザーからそっぽを向かれたウォークマンの教訓が相変わらず生かせていない)。

話はさらに続く。
こんな感じで、BD陣営がかなり好き放題やっている中で、今度は唯一のHD DVD陣営であるが東芝が爆弾を投下した。それが、RD-A301である。こちらは、DVDに従来記録もできます、地デジのMPEG-2 TSも記録できます、MPEG4 AVCも記録できますというもの。DVDフォーラム策定の規格であるHD Rec対応なので互換性もあり、みんなじゃんじゃんDVDを使ってくださいというスタンスで、その結果、HD DVDの普及が遅れたってかまいませんという破れかぶれ路線だ。要するに、今や、BDかHD DVDかではなく、もう各社バラバラというのが現状となってしまった。
次世代DVDの普及を急ぐあまり、次世代DVDの普及が遠のいてしまったというのが、僕の見方だが、最大の原因はユーザー不在であること。賢い消費者は、慌てず騒がず、じっとメーカーの行く末を見守るに限る。
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